「あの頃君は若かった。」
イベントで中等部生に扮した三年生たちの、
中学三年生時代のエピソードをご紹介します。



神嶋翠
中等部の一年生の頃、好奇心旺盛なお友達と高等部にこっそり忍び込んで高等部のお姉さまにお会いしましたわ。
叱られると思いましたら優しくお話しして下さって、姉妹制度のことを詳しく伺いましたの。
翌年は機会がありませんでしたが、その翌年、中三の時にまたその方にお会いしましたのよ。
忍び込んだのではなく深葉祭ですわ。

ご一緒に深葉祭を案内して下さってとても楽しい一時を過ごしましたの。
その方はわたくしと入れ違いにご卒業になりましたし、深葉祭を回ってくださった時には妹さんもご一緒でしたから姉妹になりたいと思ったわけではありませんでしたが… 姉妹制度と言えば真っ先に思い出しますわ。
ああいう姉妹になりたいなと思えるような素敵なご姉妹でしたもの。

でも、実際に自分がお姉さまを得て思ったことは「姉妹にはそれぞれその姉妹の形がある」でしたけれども。


和久井桃子
中等部時代に背が物凄く伸びて制服を何度も作りました。
天文学の道を意識し始めたのも中等部三年の進路調査だったと思います。
初等部時代から何かと気にかけて下さる上級生がいらして、
高等部の姉妹制度にこの私でさえ柄にもなくドキドキしていたものです。
その方とは残念ながら姉妹の縁はなく、他にも縁がなさそうなままあっと言う間に最後の深葉祭。
もしも中等部三年の私に会えるなら言ってあげたい。
自分に素直になりなさい、と。
それから、そんなに身構えなくても大丈夫。
自分から壁なんて作っちゃだめ、同級生のみんなはずっと私に優しい、と。


杵築丘子
それまでは単にスレンダーな体型だっただけなのに、中3のころから体つきが女性的になりはじめた。思春期の変化を相談できる性格でもなく一人もんもんと悩んだ時期があったらしい。 今日引っ張り出してきた中等部の制服はそのため胸がきつく、ひそかに猫背気味の姿勢になっているようだ。(指摘すると大変なことが起きる可能性が高いのでそっとしてあげよう)


鵙谷恋
私は実の姉妹もいないし、中等部三年生の頃はご他聞に漏れず姉妹に対してかなり強い憧れがありました。
今はもう流石に自分の実力を弁えるようになってきて素敵な姉妹に出会いたいという望みは持たなくなりましたが、いつもいつも祖母や母の姉妹の様子を見ていれば儚い望みを抱きたくもなります。
祖母のお姉さまと妹さんは私の実家から徒歩圏内に住んでいらっしゃるので時々遊びに来て下さいますが、その日だけはあの祖母でさえ浮き足立って見えるから不思議です。
三人揃って和室でお茶を点ててるときは本当に『ご馳走様』なのです。
母のお姉さまは私の知らない母のこと――例えば父と婚約したときパニック状態でお姉さまに泣きついたとか、私が最近母にそっくりになってきたとか――を沢山教えて下さいます。
祖母のお姉さまに惚気話を聞こうものなら後で祖母から怒られますので身の安全のために聞かないことにしています。
姉妹ってこんなふうに支えあいながら、自分たちだけではなく周りの人もしあわせにする力があるのかな、なんて最近ぼんやりと思っています。


四ッ谷環
外部へ進学してギャルになるつもりだった。
高校生になったら金髪ぐりぐり巻いてヴィトンのバッグで通学するんだ、って思ってた。
でも大抵寮がないから実家から通わなきゃいけなくて、それがイヤだったからやめた。
今となっては、やめといてほんとによかったと思う。
それに大体、環べつにヴィトン好きじゃないのよ。なに考えてたのかしら。


藤橋可憐
かれんってば小さい頃から可愛くて優しくて穏やかでお菓子作りが上手なぶりっこ上等びしょーじょでしたぁ。
だから一般的な深葉の生徒らしく高等部に上がったらすぐお姉さま捕まえてきゃーきゃーはしゃぎたいなーなんて希望も持ってたものですぅ。
そんな「いたいけなびしょーじょ」だったかれんは家庭科部だった頃から、寧ろもっとずっと前からお菓子作りは大好きで、大切で技術面で誰かに劣るのは絶対イヤ、って思ってたんですぅ。
趣味で作ってる人と、将来の夢に据えてるかれん力量が同じじゃいけないでしょう〜?
でも、「上手なお菓子」だけが素晴らしいとは言い切れませぇん。
お菓子をプレゼントして、「美味しい」って言って貰えたらとっても喜んじゃいますぅ。
けど、受け取った瞬間に「嬉しい」って言って貰えたら幸せになっちゃいますぅ。
美味しいだろうから嬉しい、ってことかもしれないですけど、「もらえることがうれしい」って言ってもらえたような気がしてぇ。
中等部に上がってからそれが分かって、かれんは上手なお菓子を機械的に作る人、じゃなくて、お菓子で幸せを振り撒く人、になりたいなーって思いましたぁ。
支離滅裂でごめんなさぁい。中等部仕様かれんでしたぁ〜。


仲澄依子
今とそう変わりありませんけれど、大人しかったです。
外で遊ぶより室内で過ごしたい、物事をうまくはっきり言えない。そんな子でした。
ただ絵に関しては、これに割く時間のせいで成績が落ちたとかそんな風に
親から言われたくなくて、三年生の頃は特に必死に勉強をしていました。
進路に関しては自然のままに高等部への進学を決めていましたけれど。
噂に聞こえる姉妹のお話には、やはり興味と期待に胸をときめかせていました。
夢物語のように、心の中でまだ見ぬ姉や妹について色々と想像してみたりして。
まるで恋に恋する子供のような、そんな時期だったように思えます。
今思うと気恥ずかしいというか……照れくさいですね、とても。




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